役職に様や殿の敬称をつける?つけない?正しいつけ方とは!

御中 様 殿

役職に様や殿の敬称はつけるべきか、つけないべきか?

ハムレットの、「生きるべきか、死ぬべきか」ほどの深刻な問題ではないにしても、

一度はあなたも、悩んだことがあるのではないでしょうか。

正反対の意見がありますよね。

「役職は敬称だから、つけると二重敬称になる。」

いやいや、それは違う。

「役職は、組織での役割を示す職名であって敬称ではないから、つけても二重敬称になんてならない。」

どちらの意見も、それなりに正しいと思えるところがあるから、厄介なんです。

あなただったら、宛名を「加藤一郎営業部長」と書いたら、その下には様か殿をつけますか?つけませんか?

この記事では、じん兵衛だったらこうする、という考えをまとめました。

役職に敬称をつける時、つけない時

最初に、じん兵衛の基本的な考えをいいます。

「役職は、組織の中での役割を示す職名であって、敬称に分類される語ではない。
ただし、使われ方によって、敬称として機能する面がある。」

ということです。

使われ方によって、その顔を変えるからややこしいんです。

ですから、ざっくりと、「〇〇部長」に敬称はつけますかと聞かれても答えようがありません。

  • 〇〇に個人名がはいるなら、敬称はつけない。
  • 〇〇に部署名がはいるなら、敬称はつける。

個人名+役職、は敬称をつけない

A株式会社 加藤一郎営業部長
A株式会社 経理部 山田課長

この書き方の場合には、様や殿の敬称をつけない。

なぜなら、ここに書かれた営業部長、課長といった役職名には、敬称の意味合いがこめられていると考えるからです。

本来なら、役職は組織での役割を示す職名ですので、敬称をつけます。

しかし、個人名に役職名をつけた場合は、役職名自体が敬称として機能する面があるので様や殿はつけないのです。

役職は敬称であるから、という理由でつけないのではありません。

会話をしているときには、相手の名前に「さん」をつけて呼びあうのが一般的です。

加藤さん、山田さんと呼び、「さん」は敬称です。

相手が役職者の場合は、「さん」の代わりに役職名をつけて呼ぶことがありますよね。

加藤部長、山田課長と呼びかけます。単に「部長」「課長」と呼ぶこともあります。

このときの「部長」「課長」は単に職名というだけにとどまりません。

「さん」の代わりとなって、敬称としての役割も一緒にはたしていると考えます。

ですから、個人名のあとに役職をつけた時は、敬称をつけないのです。

ただ、理屈はそうでも、文字にした場合に、なにも敬称をつけないのでは、呼び捨てにしているようで申し訳ないという気持ちにもなります。

だったら、「役職+個人名」に変えましょう。

「営業部長 加藤一郎様」にすれば、スッキリします。

役職+個人名、は敬称をつけます

A株式会社 営業部長 加藤一郎様

この場合は、文句なしに個人名に様をつけます。

この場合の「営業部長」とは加藤一郎の職名を表しているにすぎないからです。

宛先は、加藤一郎という個人になりますから、「様」をつけるのは当然です。

会社名+役職、は敬称をつけます

A株式会社 営業部長殿

役職者の名前がわからず、役職名宛に書面を郵送するときなどには、敬称をつけます。

つける敬称は、役職名には「様」でなく「殿」がふさわしいと思います。

ところが、今では「殿」という敬称はドンドン片隅に追いやられ、役職につける敬称も「様」が幅をきかせています。

役所から送付される文書に使われる敬称が、「殿」から「様」に変ってきたため、民間においてもその流れが押し寄せたのでしょう。

そうはいっても、

「様」は個人名につけるのが原則です。

  • 役職名には「殿」をつける。
  • 個人名には「様」をつける(「殿」がふさわしい場合もある)。

この原則は守りたいものです。

多くの感謝状、表彰状などの公的な書状においては、個人名、団体名にかかわらず今でも「殿」が使われます。

このような書状は、「殿」でないと収まりが悪いと感じるのはじん兵衛だけでしょうか。

  • 「殿」は上から目線だ。
  • 「殿」は敬称でもなく、目上から目下につける蔑称だ。

とんでもない偏見です。

じん兵衛は意に介しません。

まとめ

役職に敬称をつける時とつけない時は以下のとおりです。

対外的ビジネスの場では、通常「様」が使われます。
社内では、「殿」が使われることが多いです。

  • 個人名+役職、は敬称をつけない
    A株式会社 加藤営業部長
  • 役職+個人名、は敬称をつけます
    A株式会社 営業部長 加藤様(殿)
  • 会社名+役職、は敬称をつけます
    A株式会社 営業部長殿(様)

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