「〇日までに~をやっておいてくれますか」
こんな言い方で期限を決められて、人から頼みごとをされるのは、しょっちゅうです。
でも、相手がいう「〇日まで」って、いつのこと?「〇日」も含まれている?
「〇日中」にやってあげれば、相手の要求にこたえたことになる?
不要なトラブルを避けるためには、言葉の意味だけでなく、相手の意図も正しく理解しておく必要があります。
あなたなら、「〇日までに資料を用意してくれ」と指示されたとき、
「○日まで」の意味をどうとらえ、どう対処しますか。
「◯日まで」という期限についての考えを整理します。
「まで」が含む範囲はどこまでか
「まで」は、時間、場所、終点などを前もって決めるときに使われる言葉です。
「11日まで会社を休んでいいよ」といわれたら、11日は出社しなくてもいいんです。
「7月20日までに申請書を提出してください」なら、7月20日に提出すればいいんです。もちろんそれ以前に提出しても問題ありません。
「新幹線で東京駅まできてください」なら、東京駅に行きます。
そのほか、「まで」はいろんな場面で使われますよね。
「5日までに資料をまとめてください」
「夕方5時までに帰ってくるように」
「16時までは待ってるから」
「7月11日までにお金を返してください」
「〇〇まで」といわれたら、「〇〇」という期日は指定された範囲の中に含まれます。
でも、仕事の上では言葉の額面通りに行動するのは、ちょっと考えものです。
「〇日まで」といわれたら、その当日を含む
ことばの意味として、こう理解するのは正しいことで、間違ってはいませんよ。
でもね、実社会ではことば自体の意味が分かるだけではしょうがないんです。
ある実例です。
課長:「田中くん、来週20日に予定している販売会議の資料を20日までに作成してくれ」
田中:「はい、わかりました。20日までにお持ちします。」
田中さんは、「20日までに」を、額面通り「20日の会議が始まる前までに」と理解しました。
そして19日の退社時間が近づき、
課長:「田中くん、まだ資料がきていないがどうなっているんだ。」
田中:「明日の販売会議が始まるまでには間に合うように進めています」
課長:「なにいってるんだ、それでは資料のチェック、確認が充分にできないだろう。20日までといったら19日中に持ってくるのが常識だろう。」
田中さんは、課長から大目玉を食らいました。
これって、どっちが悪いんでしょうか・・・
「いえいえ、19日中は課長の常識で世間の非常識ですから・・ブツブツ」
もし、こんなこと思って反省をしない田中さんなら、この先の出世はむずかしいでしょう。
この場合、田中さんは、「どうなってるんだ」と聞かれたその場で、すぐ課長の気持ちに気づき、
田中:「今日中にすませ、明日の朝一番にはお渡しできます。遅れて申し訳ありません。」
こう返事するべきでした。
これなら、課長から大目玉を食らうことはなかったはずです。
課長がいう「20日まで」とは「20日になる以前の日、18日とか19日」のつもりだったんです。
しかし、田中さんは、「20日まで」を、ことば通りに、20日中と理解しました。
そして、会議は13時から始まると聞いてるので、13時に間にあえば良いと考えたんですね。
「20日まで」の言葉の意味としては間違いではないんですよ・・・
だけど、「20日まで」といった課長の真意をくみ取ろうとはしませんでした。
そのせいで、課長には満足してもらえるどころか、逆に怒らせてしまったのです。
「◯日まで」って実は曖昧な表現です
だったらもっと分かりやすく、
課長:「田中くん、来週の20日13時から販売会議がある。それまでに資料に目を通したいんで19日中か遅くとも20日の9時には持ってきてくれ」
田中:「わかりました。できれば19日中、遅くても20日9時にはお持ちします」
こんなやり取りなら双方の認識にズレは生じませんでした。
しかし、あなた、手取り足取りで指示を出してくれる人間なんていませんよ。
8~9割程度話したらあとの1、2割は、「よきにはからえ」です。
この「よきにはからえ」は、
こちらの意をくんだうえで、あとは自分でベストだと思うことをやれということです。
「○日まで」と指示されたら、「まで」に込められた気持ちを察するのはこちら側の仕事なんです。
怖いですね~、怖いですよ~
ことばの行き違いを防ぐ方法
無用なトラブルを避けるためには、頭を働かせないとだめです
「20日まで」と指示されたら
「20日中にお持ちすれば良いでしょうか?」とこちら側から確認することです。
違っていれば、もう一言、二言を話してくれますから。
双方の認識にズレを生じさせないよう、相手の意向は詳細に確認しておきましょう。
20日までに振り込んでくれ、支払ってくれとは

「20日までに振り込んでくれ、支払ってくれ」といわれたら、あなたはどうしますか?
20日中に、銀行窓口やATMから振込みの手続きをすませて支払えばそれで大丈夫。
なんて思っていたら、
はい、あなた「それはブッブ~、大きな間違い」です。
「20日までに振り込んでくれ、支払ってくれ」とは「20日までに入金してくれ」ということ。
あなたがいつ振込手続きをしたかなんて、そんなことはどうでもいいことです。
預金通帳の20日の入金欄に請求額が印字されていればいいんです。
「20日まで」に振り込んでくれといわれたとき、
自分を中心にしていると、
「20日中に振込すればいいんだ。それがいつ入金になるのかは、こちらの知ったことではない」となります。
これが、手形決済に予定していたお金だったら、不渡りを出すか出さないかの、一大事ですよ。
相手中心の気持ちになって、どうすべきかを考えることが大切です(キッパリ)。
いや~、何十年かかったことか、じん兵衛もやっとこれだけのことがいえるようになりました。
31日までに送って下さいとはいつまで
自分を中心に考えてしまうと、31日中に郵送すれば良い(31日の消印があれば良い)と思ってしまいます。
でも、相手からすれば、「31日までに届けて下さい」といってるつもりですよ。
「まで」って、曖昧なことばなんです。
話し手と聞き手で受け取り方が違ってくるのはしょっちゅうです。
履歴書、入学願書など、1日遅れでも致命的な失敗になる郵便物は慎重に期日を確認しないといけません。
「31日必着で送って下さい」
これなら、勘違いが生じる恐れがないですね。
小学生まで無料とは
遊園地、水族館などの入り口で「〇〇は料金無料」の案内をよく見かけます。
「小学生まで無料」と書いてあれば、小学生が無料になるのは間違いないです。
でも、よく似ている表現で、以下、以上、未満などがあります。
「小学生以下無料」といわれたら、
小学生は無料?それとも有料?
以下、以上、未満については小学生以下とは にまとめました
まとめ
「◯日まで」はその当日を含む「◯日中」ということです。
辞書的にはこれで正しいです。
ただし、
話し手と聞き手が、同じ認識を共有するとは限りません。
ある人は、
「15日まで」は当日を含む「15日中」で良いとし、
別の人は、
「15日まで」は15日になる前で「14日中」という意味で使います。
「〇〇まで」は、実に曖昧ないい方になります。
「期限」にまつわるトラブルを避けるには、
曖昧さをなくして、具体的な日時の認識を共有することが必要です。
コメント