退職届に一身上の都合と書きたくないあなたへ!

辞めたい 退職

退職届には「一身上の都合により退職します」と書くのがビジネスマナーであるかのようです。

自己都合で退職する人には使い勝手のよい実に都合のよい言葉ですから、そう書いておけば間違いありません。

でも、あなたは退職理由を「一身上の都合」と書きたくない

それは自己都合でなく「会社都合」あるいは「正当な理由のある自己都合」での退職扱いにしてもらいたいからではないでしょうか?

そんな場合は退職届にどんな理由を書けばよいのかについて考察します。

退職理由にはどんなのがあるか

退職理由は大きく分けて

  1. 自己都合(一身上の都合に代表される)
  2. 正当な理由のある自己都合
  3. 会社都合

の3つに分けられます。

失業保険を申請する場合、1.の自己都合で処理されると失業給付の支給時期や給付日数に大きな影響がでてきます。

本当は身勝手な自己都合だけど、会社都合にしてほしいなんてのはダメですけど、そうでなければ正当な扱いは受けたいものです。

正当な理由のある自己都合とは

正当な理由のある自己都合とは、自己都合であっても本人の意思だけによるものではない、やむを得ぬ事情で離職するケースです。

たとえば、

通勤時間が片道2時間以上もかかる営業所への配属を打診された。

形の上では、相談だが実質業務命令のようなもので、とても断れる雰囲気ではない。

かといって今の家庭の事情では配属に同意するのはとても無理だから辞めざるを得ない、とか、

毎月45時間以上もの残業が続き、改善を申し入れたが取り合ってもらえず、体がもたないから辞めるとか、

自分の本意ではない退職にいたる理由は色々あると思います。

厚生労働省では、下記の理由で離職した場合を、正当な理由のある自己都合により離職した者としています。

Ⅱ 以下の正当な理由のある自己都合により離職した者(※)
① 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
② 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第 20 条第 1 項の受給期間延長措置を受けた者
③ 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合
又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭
の事情が急変したことにより離職した者
④ 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
⑤ 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
ⅰ) 結婚に伴う住所の変更
ⅱ) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
ⅲ) 事業所の通勤困難な地への移転
ⅳ) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
ⅴ) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
ⅵ) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
ⅶ) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
⑥ その他、上記「特定受給資格者の範囲」のⅡの⑩に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
引用元:厚生労働省/特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

「特定受給資格者の範囲」のⅡの⑩とは
事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設
けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

上記のような理由で退職するのであれば「一身上の都合」なんてごまかさずに、具体的な理由を書きましょう。

詳しい事情は口頭で伝えてあるから退職届には一身上の都合と書く、なんていうのはやめたほうがいいです。

会社側から「一身上の都合」と書くよう求められても応じないほうがいいです。

自分に当てはまることがあれば、積極的にその内容を書くのがおすすめです。

そうでないと、会社側がかってに自己都合による退職として離職票を作成してしまうかもしれません。

「口頭で伝えてあった」「聞いてない」とあとで会社と揉めた場合、退職届に書かれてあることしか証拠になりません。

もっとも、失業手当の申請を考えていないのなら「一身上の都合」で構わないと思います。

なお、新型コロナウイルス感染症に伴い退職を余儀なくされた場合には、雇用保険求職者給付の特例を受けられます。

新型コロナウイルス感染症に伴う退職

令和2年2月25日以降に、以下の理由により離職した方は「特定理由離職者」として、雇用
保険求職者給付の給付制限を受けません。既に給付制限期間中の方も、給付制限期間が適用
されない特例措置があります。
<「特定理由離職者」となる場合>
①同居の家族が新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより
看護または介護が必要となったことから自己都合離職した場合
②本人の職場で感染者が発生したこと、または本人もしくは同居の家族が基礎
疾患を有すること、妊娠中であることもしくは高齢であることを理由に、感
染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合離職した場合
③新型コロナウイルス感染症の影響で子(小学校、義務教育学校*1、特別支援
学校*2、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などに通学、通
園するものに限る)の養育が必要となったことから自己都合離職した場合
*1 小学校課程のみ *2 高校まで
引用元:厚生労働省/新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例のお知らせ

「退職届」にはありのままの理由を具体的に書いて会社へ提出することをおすすめします。

正当な理由があれば退職の理由は具体的に書いたほうがよい

退職すると、会社から雇用保険被保険者離職票(-1、2)という2通の離職票が送られてきます。

この離職票でハローワークに失業保険の給付を申請しますので、離職票が届かない場合には早く対処しないといけません。

離職票に書かれた、離職理由が

離職区分4D以外(正当な理由のある自己都合退職)になっている、

離職区分4D(正当な理由のない自己都合退職)になっている、とでは、

失業保険の給付において、3ヶ月の給付制限がつくか、つかないかの違いがでてきます。

離職区分が4D(正当な理由のない自己都合退職)になっていた場合は、3ヶ月の給付制限がつけられます。

実質、会社側の都合で退職に追い込まれたのに、3ヶ月も失業保険が受け取れないのは納得できないですよね。

雇用保険被保険者離職票-2の離職理由のページを確認してください。

離職票

は事業主の判断で書きます。
は離職者が①に同意するかどうかです。
は離職理由に異議があるかどうかです。

異議があれば、ハローワークの担当者に申し入れればいいです。

担当者から、会社側に問い合わせをしてくれます。

会社が、離職者の言い分を認めてくれればいいですが、認めない場合は、もめます。

ハローワークからも、

「正当な理由がある自己都合退職」である証拠はありますか、と聞いてきます。

残業時間の問題なら、タイムカードの控えなどがあれば証拠として提出できます。

しかし、配属の問題なんかだと、会社の答えは分かっています。

「別に本人が断ってくれればすむ問題でしたよ」

ハローワークの担当者も困ります。

「会社側とよく話し合われたらどうですか」でケリがつくと思います。

正当な理由による自己都合退職だと思うなら、退職届の理由の書き方はできるだけ具体的に詳しく書いておきましょう。

「一身上の都合により」とだけ書いておくと、離職区分が4Dにされてしまうかもしれませんよ。

「退職届」は配達内容証明郵便で郵送しましょう

退職届を郵送するときは、郵便局へいき、「配達内容証明郵便」で送ります。

普通郵便だと、

「こんな退職届受け取れるか」と、受け取りを拒否されるかもしれません。

拒否する権利なんてないのにです。

ですから、「内容証明郵便」で「こういう理由で退職届を提出した」という証拠を残しておくのです。

その際には、受け取ってないといわれないように、「配達証明」もつけてもらいます。

離職票の退職理由が、「離職区分4D」になっていたときの異議申し立てに十分役立つはずです。

会社都合で退職する際の書き方

パワハラなど会社や上司などのせいで退職に追い込まれたようなときは会社都合が原則です。

「会社都合によって退職します」
「耐え難い苦痛のため退職します」

などと会社側に離職の責任があるということを明確にしておくべきです。

会社都合の具体的な理由

厚生労働省では、パワーハラスメントの概念として以下の1から3までの要素のいずれも満たすものを職場のパワーハラスメントの概念として整理しています。

  1. 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われること
  3. 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

詳しくはパワーハラスメントの定義についてを参考にしてください。

パワハラが原因で社員が退職する場合には、労働者の責任ではなく会社側の責任によって「退職を強いられたもの」として認められます。

そのため、一般的には会社都合退職という扱いになるのです。

退職代行サービスの弁護士を利用するのも一つの選択肢

会社との間に感情のもつれがあるようだと自分の思うような形で会社を辞めるのが難しくなることがあります。

そんな場合は自分で全て円満に解決しようなんて考えずに退職代行サービスに丸投げで弁護士を利用するのも選択肢の一つです。

費用はかかっても、弁護士であれば会社との交渉も代行してくれ、スッキリ希望通りの形で辞められると考える人が増えています。

  • 自分で解決していくか
  • 一身上の都合でいいやにしてしまうか
  • 退職代行にまかせてスッキリするか

いずれにしても自分の気持ちをごまかさずにやめたいものですね。

まとめ

退職届に「一身上の都合」と書きたくないからといって、何も書かないというのは止めたほうがいいです。

あなたの意に反して自己都合扱いにされる恐れがあります。

「自己都合」扱いで退職処理されたものを「会社都合」あるいは「正当な理由のある自己都合」に変更するのはかなりハードルが高いです。

会社都合あるいは、正当な理由のある自己都合で処理してもらいたいのなら、証拠を残しておくためにも、退職の理由は具体的に書くようにしてください。

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