前略の結びには、「草々(早々)」、女性だったら「かしこ」と書きます。
「かしこ」は女性のみが使えるという、手紙で最後に書き添える結びの挨拶として使うことばです。
頭語を選ばないので、女性の場合は結語を「かしこ」としておけば間違いありません。
前略の結びのことばに使う「草々(早々)」というのは「取り急ぎ、以上のことを走り書きしました」という意味がこめられています。
でも、正直じん兵衛は「前略」が好きではありませんので、前略と書かずに
〇〇様 先日は久しぶりあえて楽しかったです。
写真ができましたので同封します。
・・・・・敬具
こんなふうに書きたいですね。
なお、「前略~草々」よりも「拝啓~敬具」のほうが一般的によく使われます。
よくある前略の誤った使い方
前略 青葉が美しい季節となりました。お元気でお過ごしでしょうか。
前略 新緑の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
この書き出し、ちょっと読んだ感じではおかしいと思わないかもしれません。
でも、この二つの文章は前略の使い方を間違えていますから・・・
こんな書き出しの文書を送って恥をかくようなことはしないでくださいよ。
社会的にしっかりしているはずの会社からでさえ、こんな文書が送られてくることがあるんです。
前略の意味を分からずに、一つの定型文としてなんの疑いもなく使っているんでしょうね。
仕事のできる、あなたには真似をしてほしくない、前略の使い方です。
前略の意味と正しい使い方
前略の「前」とは、手紙や文書などで頭語のあとにくる前文のことをさしてるんですね。
「前略」ということは、「前文を略させていただきます」という書き手の気持ちをこめてあるのです。
通常なら前文に書くべき、時候の挨拶や先方への繁栄を祝うことばを省略させていただきます、ということです。
ですから、前略と書き出したら、その後は、
「青葉が美しい季節となりました」
「新緑の候」
とかの時候の挨拶や
「お元気でお過ごしでしょうか」
「貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」
とかの、安否の挨拶、相手の繁栄を祝うことばは書かないのです。
前略としたら、その後にいきなり主文を書き始めるのが正しい形なのです。
なお、時候の挨拶だけを省略して、
前略 お元気でお過ごしでしょうか。
前略 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
という書き方をする人がいますが、これも前略の使い方を間違えています。
余計なことばは不要なんですから、前略としたら、いきなり主文を書き始めればいいんです。
前略を使う場合ってどんなとき?
前略を使うのは、
- 至急の要件を伝えたい文書、手紙
- 事前の電話で、すでに概要が伝えてあり、挨拶もすんでいる人への文書、手紙
- ごく親しい相手への文書、手紙
に限ります。
とはいえ、目上の人や得意先への文書、手紙に、いきなり前略とするのはちょっと雑すぎます。
前略を使うのであれば、相手はごく親しい友人に限ったほうが無難だろう、というのがじん兵衛の考えです。
前略 先日の同窓会の写真ができたので同封します。
・・・草々(早々)
まとめ
- 前略と書き出したら、すぐに主文を書き始める。
- 前略と書き出したときは「草々(早々)」がセットとなる結語です。
- 「かしこ」は女性のみが使います。
- 前略の結語で「敬具」を使うのは正しくありません。
「敬具」は頭語「拝啓」の結語として使われます。
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