緑内障は正常な房水の流れが阻害されることで発症します。
房水は眼の前・後房みたす液体で、水晶体に栄養を与えるとともに、眼圧を維持する働きをしており、毛様体で作られる。
清浄では、毛様体から出た房水は矢印のように後房・前房を経て隅角のシュレム管から眼外に流出するので、眼内の房水の量はつねに一定しており、眼圧も一定範囲に保たれている。
引用元:講談社「病気の地図帳」
緑内障は、原因不明の原発性と、もともとの原因となる疾患がある続発性とに分けられます。また、先天性と後天性にも分けられます。
原因不明の原発性としては、緑内障発症の原因となる、、隅角(ぐうかく)の状態により、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に分けられます。
開放隅角緑内障の症状
このタイプの緑内障では、前房は深く、隅角にも異常はないが、シュレム管周辺の繊維柱帯に異常があって房水が眼外に流出できず、眼内にたまって視神経を圧迫する。①主として隅角以降の房水の通り道が阻害されて流れが悪くなり、眼圧がゆっくりと上昇し、 その結果、視神経に圧迫萎縮がおこり、はじめは視野異常、末期には視力低下をきたす。
②眼圧の上昇をともなわずに視神経萎縮がおこる正常眼圧緑内障とがあるため、眼圧、視神経、視野の定期的な審査が必要です。
引用元:講談社「病気の地図帳」
日本人の緑内障の大部分は②の正常眼圧緑内障タイプになります。
進行がきわめてゆっくりであり、中心視野は明瞭です。
そのため、周辺視野の一部に異常が出ても、中心部から離れた小さい範囲であるため気づきにくいのが特徴です。
その初期にはほとんど自覚症状はありません。
開放隅角緑内障は長い時間(10年~15年)をかけて少しづつ進行していきます。
このため、初期にはほとんど自覚症状はないのですが、進行の過程において、たとえば、頭痛や眼精疲労などの症状がみられることがあります。
しかし、これらの頭痛や眼精疲労の症状を、緑内障と結びつけて考える人はまずいません。
緑内障では、視野の4分の1までの視野障害がでるまでは、はほとんどの人が、気づきません。
視野の半分ぐらい欠損してから、初めてその異常に気づくのです。
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緑内障の視野欠損は徐々に進行します。
普段人間は両目で見ているために、片方の視野が欠けても、もう片方である程度視野を補ってしまいます。
また、視力と違って、視野の感覚に対しては鈍感です。
普段から視野の広さを自覚することはないので、たとえ少しぐらい欠けても、それが欠けているのかどうかさえの判断さえしようがないのです。
このことが、緑内障の早期発見を困難にしており、自覚症状をはっきり感じてからでは、すでにある程度進行しているのです。
それゆえ、はっきりと自覚できなくても、新聞などの文字の一部が欠けて見えるみたいだとか、テレビ画面が見づらくなったみたいだとか、
「なんか、おかしい」と思ったらすぐに眼科で検査を受けられることを強くお勧めします。
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正常眼圧緑内障とは及びその症状
正常眼圧緑内障は非常に診断が難しい緑内障です。
他の病気でも視野の変化が起こることがありますから、緑内障が原因であると簡単に診断できないためです。
特に大脳に障害があると視野障害が起こりやすいので、正常眼圧緑内障の疑いがある場合は、眼底検査や視野検査を行うとともに脳のCTやMRIを実施しなければなりません
緑内障は従来「眼球内部の圧力(眼圧)の上昇により視神経が圧迫されて障害をおこす病気」と定義されてきました。
しかし、近年の調査研究により眼圧が正常にも関わらず視神経が圧迫されて障害を起こす緑内障があることが分かってきました。
これが「正常眼圧緑内障」といわれるもので、慢性に経過するタイプの90%以上がこの「正常眼圧緑内障」であることがが明らかにされました。
発生要因としては少なくとも二つの場合が考えられます。
一つは、平均眼圧が正常範囲内であっても、一日のうちで正常範囲より高くなる時間帯がある場合です。
眼圧は一日周期で変動しており変動幅があります。
それ故に最も高くなった時の眼圧が従来の正常範囲の眼圧(21mm Hg)をこえてしまうことがあります。
平均眼圧が正常範囲をこえている高眼圧と異なり、眼圧が高くなる時間も、視神経が圧迫される時間も短いのです。
繰り返しの圧迫により視神経に栄養を送る血管に血液循環障害がおこり、
神経細胞がダメージを受け、視神経障害から緑内障がおこり進行していくのでないかと推測されています。
もうひとつは、正常範囲とはあくまで集団を対象とする基準値であり、視神経乳頭に対する眼圧の影響には当然個人差がありますので、緑内障をおこす眼圧が人によって違うということです。
大事なことは、その人にとって視神経障害がおこるくらい高い眼圧かどうかということです。
また、
②目の病気のため視神経の機能が低下している
③視神経に栄養を送る血管に血液循環障害がおこり視神経細胞が栄養不足に陥っている、
など視神経がダメージを受けやすい状態になっている場合などは、それほど高くない眼圧でも、視神経障害がおこってしまうのではないかと推測されています。
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閉塞隅角緑内障(急性閉塞隅角緑内障)の症状
このタイプの緑内障では、前房が浅く,そのため虹彩根部の異常などによって隅角の閉塞がおこり、房水が眼外に流出できず、眼内にたまって視神経を圧迫する。閉塞隅角緑内障では隅角が狭まり、機械的に房水の流出が阻害されて眼圧が高くなります。
心身疲労や強い感情の起伏などにより急性におこり、眼圧、頭痛,悪心、嘔吐をともない視力低下がおこります。
引用元:講談社「病気の地図帳」
閉塞隅角緑内障も日常的な自覚症状はありません。
しかし、閉塞隅角緑内障は急に発症し、急速に進行することが多いため、急性閉塞隅角緑内障ともいいます。
強い眼痛、目のかすみのほか、ひどい頭痛、吐き気、嘔吐などの症状をともなって発症します。
そのため、本人が閉塞隅角緑内障であるとの自覚がない場合などは、頭痛や吐き気などの症状から内科を訪れ、眼科での受診が遅れることがります。
結果手遅れになって失明することもあるのです。
ひどい頭痛や吐き気、嘔吐などの症状に目の強い痛みやかすみ目をともなう場合には、まず眼科を受診しなければなりません。
閉塞隅角緑内障は発作的に発症しますが、人によっては、発症前に小発作を起こします。
多くは夜間に、一時的な目のかすみ、眼の痛みの他に蛍光灯などの明かりに虹がかかっているように見える(虹視)がみられることもあります。
放置して大発作につながる前に、必ず眼科で受診してください。
緑内障の進行
- 初期:視野の中に見えない部分が出現します。
- 中期:視野の周辺部を覆うように見えない部分が広がります。
- 後期:見える部分は中心部のみで、視野は筒を通して覗いているように狭くなります。
緑内障は進行性で、治療を受けないで放置していると視神経障害が大きくなります。
結果、視野がどんどん狭くなって、ついには失明してしまう病気です。
失明を防ぐ最善の方法はできるだけ軽いうちに緑内障を発見し、適切な治療によって進行を止めることです。
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